被相続人が死亡すると同時に、まず相続人が把握しておくべきことは、「被相続人がどのような財産をどれだけ所有していたのか」という点です。遺言者が財産目録を作成していなかった場合は、相続開始後に相続人が一から調査を行い財産目録を作り上げなくてはなりません。

 

ここでは、相続手続きで必要になる財産目録の書き方や記載事項、ひな形などについて説明していきます

 

相続で必要になる財産目録とは?

相続で必要になる「財産目録」とは、被相続人が所有しているプラスの財産(不動産や預貯金、有価証券など)やマイナスの財産(借金・住宅ローンなど)を一覧にまとめた書類を指します。財産目録があるだけで、相続人は被相続人の財産全体を簡単に把握できるため、遺産分割協議がスムーズに進みやすくなります。

 

財産目録がない場合のリスク

もし財産目録がなければ、相続人は自力で被相続人の財産を調査しなければなりません。調査の手間に加え、見落としによるトラブルも起こりやすく、相続手続きに膨大な時間がかかる可能性があります。

  • 財産発見の遅れによる遺産分割協議のやり直し
  • 負債の見落としによる想定外の返済責任

このように、財産目録を残しておくことは相続人にとって非常に大きなメリットがあるといえるのです。

 

相続用の財産目録を作成するタイミング

財産目録はいつの時点で誰が作成すべきなのでしょうか。遺言者が生前に書き残しておく場合と、被相続人が遺言書を遺しておらず相続人が財産目録を作成する場合に分けて、適切なタイミングを判断していきましょう。

 

【生前】遺言者が財産目録を作成しておく場合

遺言者人本人が元気なうちに財産目録を作成しておくと、相続人の負担を大きく軽減できます。遺言書を遺しておくことで、「どの財産を誰に相続させるか」を考える際の参考資料としても活用できるでしょう。

 

2019年の民法改正により、自筆証書遺言に添付する財産目録はパソコン等で作成しても有効とされました。従来はすべて手書きが原則でしたが、現在ではパソコンなどを使い、形式さえ整っていれば認められます。これにより、生前に財産目録を作成するハードルは下がったといえるでしょう。

 

【死後】遺言書がなく相続人が財産目録を作成する場合

被相続人が遺言書を残さずに亡くなった場合、相続人は法定相続割合に基づき遺産分割を行うのが通常ですが、そもそも「どんな財産が、いくらあるのか」がわからなければ協議すらできません

  • 預貯金通帳やカードの所在調査
  • 不動産の登記情報の取り寄せ
  • 負債(借入金)や保証人になっていないかの確認

これらの財産調査は相続人にとって大変な労力を要します。こうした負担を考慮すれば、やはり生前のうちに財産目録を作っておくことが理想的といえるでしょう。

 

【遺言作成時の注意点】財産目録に記載する内容

財産目録の形式は自由ですが、後に相続人同士が混乱しないようできるだけ具体的に記載することが大切です。特に遺言書に「〇〇の財産を誰々に相続させる」などと明記しておきたい場合は、財産を客観的に特定できる情報をそろえておきましょう。

 

1.預貯金・現金

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 口座種別(普通・定期など)
  • 口座番号
  • 現金の保管場所や金額

 

2.有価証券(株式・投資信託など)

  • 証券会社の名称と支店名
  • 口座番号
  • 銘柄や保有数

 

3.不動産

不動産を相続させたい場合、地番や家屋番号などが不明確だと、どの土地や建物を指すのか判別できず、後々トラブルになりかねません。そのため、法務局の登記事項証明書を取得し、以下のような情報を転記しましょう

  • 土地の所在地・地番・地目・地積
  • 建物の所在地・家屋番号・種類・構造・床面積

 

4.借入金(負債)

相続財産には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。負債を見落としていた場合、相続人が思わぬ返済義務を負うことになりかねません。借入先やローン残高がわかる書類も合わせて保管しておくと安心です

 

  • 借入先(金融機関やクレジット会社)
  • 契約内容(住宅ローン・カードローン等)
  • 当初借入金額・残高(わかる範囲で)
  • 借入金に関する契約番号や口座情報

 

【ひな形】遺言者による財産目録の書き方

財産目録は遺言書の「別紙」として作成するケースが多いため、以下のような形式を参考にしてみましょう。

 

【財産目録の作成例(ひな形)】

別紙

財産目録

1.土地・建物について

【土地】

所在:〇〇県〇〇市〇〇町丁目

地番:〇〇番

地目:宅地

地積:〇〇㎡

【建物】

所在:〇〇県〇〇市〇〇町丁目

家屋番号:〇〇番

種類:木造

構造:〇〇造2階建

床面積:1階〇〇㎡、2階〇〇㎡

2.預貯金について

〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇

〇〇銀行〇〇支店 定期預金 口座番号〇〇〇

3.株式について

〇〇証券〇〇支店 口座番号〇〇〇

△△株式会社 株式△△

□□株式会社 株式□□

4.負債について

〇〇銀行〇〇支店 住宅ローン 当初借入金額〇〇万円

〇〇クレジット  無担保借入 当初借入金額〇〇万円

 

〇〇 太郎  (実印)

※このひな形はあくまでも参考例です。実際に作成する際は、専門家による助言を受けるなどして、すべての相続財産を正しく記載しましょう。

 

不動産情報は登記事項証明書を転記

土地と建物は別個の財産とみなされるため、それぞれに地番や家屋番号をしっかり書き分けることが重要です。これらの情報は法務局で取得できる登記事項証明書から確認できます。記載を誤ると相続登記の手続き時に修正が必要となり、余計な手間が発生するので注意しましょう。

 

預貯金・借入金の口座情報

金融機関名、支店名、口座番号などは正確に記載する必要があります。預貯金の残高は日々変動するものなので、厳密に記載できなくても問題ありませんが、最低限「どの銀行に口座があるか」は明確にしておくと後の手続きがスムーズです。

 

財産目録のページ番号と署名押印

自筆証書遺言の財産目録を作成する場合、各ページにページ番号を振る署名押印するなどの形式を守ることが大切です法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する際は、所定の余白を確保するなど、法務省が提示する様式も確認しておきましょう。

 

遺言書に添付する財産目録の「様式」

公正証書遺言の場合は、公証人が遺言内容を確認しながら作成してくれます。しかし、自筆証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、様式に不備があると受理を断られることがあります。財産目録作成にあたり注意したい「様式」について理解しておきましょう。

【財産目録作成で注意したい「様式」】

  1. 用紙はA4サイズを使用
  2. 罫線など文字が判読できなくなる装飾は避ける
  3. 最低限の余白(上5mm、下10mm、左20mm、右5mm)を確保
  4. 用紙の片面のみに記載
  5. ページ番号(1/22/2など)を余白内に明示
  6. ホチキス留めなどはせず、バラバラの状態で提出

せっかく作成した財産目録が形式不備によって再提出になると大きな手間がかかるため、事前にルールを確認しておくことをおすすめします。

 

相続の財産目録作成のポイントと専門家への依頼

銀行口座やクレジットカード、株式、投資信託などは複数の金融機関や証券会社に分散している場合も多いでしょう。このため、見落としてしまいがちな次の項目に注意して財産目録を作成しましょう。

 

【見落としやすい項目(プラスの財産)】

  • 証券口座にある外貨建てMMFや海外ETF
  • 電子マネーや仮想通貨の残高
  • 昔作ったまま放置している口座 など

 

【見落としやすい項目(マイナスの財産)】

  • 滞納している税金や公共料金
  • クレジットカードのリボ払い残高 など

 

専門家に作成を依頼するメリット

財産目録をきちんと作るには、すべての財産を正確に洗い出す力が求められます。遺言書作成や相続手続きの専門家に依頼すれば、以下のようなメリットが得られるでしょう。

 

  • 財産調査の漏れや不備の防止
  • 記載方法や法務局提出書類の様式に関するアドバイス
  • 不動産相続登記などで必要となる書類の取得サポート

 

相続が発生してから慌てて調査を始めるよりも、生前に専門家の手を借りて財産目録を用意しておいた方が、結果的に時間と手間の節約になるケースが多いです。

 

まとめ

財産目録は、被相続人の財産内容を明確にするための非常に重要な資料です。元気なうちに遺言書とともに作成しておくことで、相続が始まった際に相続人の負担を大幅に減らし、スムーズな遺産分割を実現しやすくなります。

 

当行政書士法人は、遺言書作成に伴う財産目録の整理から相続全般に関するご相談まで、幅広いご相談実績を有しています。

 

  • 「どこにどのくらい財産があるのか整理しきれない」
  • 「登記情報の確認方法がわからない」
  • 「借入金の扱いに不安がある」

 

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度無料相談をご利用ください。専門家の視点から適切なアドバイスを行い、安心できる形で遺言書や財産目録を整備し、円滑な相続準備をサポートいたします。

 

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