「亡くなった後の財産分配は、法定相続分どおりでいいかな……」と考えている人も多いかもしれません。しかし、実際には相続が始まってみると、相続人同士の意見が合わず、遺産分割協議が長引くケースが少なくありません。

 

そこで注目されるのが遺言書の作成です。遺言書は法的に強い効力をもち、面倒な協議を省略できるなど、多くのメリットを得られる可能性があります。

 

ここでは、遺言書を作成する2つの大きな利点を中心に、「想定外の骨肉の争いを避けたい」「自分の意思をきちんと遺したい」と思う方に向けて説明していきます

 

遺言書がもたらすメリット【争いの回避】

遺言書が存在しない場合、相続人たちは被相続人(亡くなった方)が持っていた財産の分け方について遺産分割協議を行わなければなりません。この協議では、

  • 全ての相続人の合意
  • 印鑑証明書付きの書類への押印

などが必要となるため、一人でも反対すれば何も決まらない状態が続くことになり得ます。

【ポイント】

相続人以外にも、その配偶者や子どもなどの利害関係者が口を出して揉め事が拡大するケースが珍しくありません。「うちの子供たちはみんな仲が良いから大丈夫」という思い込みをしていると、いざ相続が始まって環境が変化してから、意外な争いに発展することもあるので注意しましょう。

 

遺産分割協議が不要に

一方、遺言書が存在し、そこに「誰がどの財産を相続するのか」が明確に指定されていれば、相続人の協議は不要で分割を進められます

  • たとえば「私の全財産を妻に相続させる」と遺言書に書いてあれば、そのまま相続手続きが可能
  • 相続人の署名押印が要らない場合も多く、スムーズに財産名義の変更が完了する

こうして被相続人の死後における家族の負担を大きく減らせるのが、遺言書作成の最大メリットといえるでしょう。

 

遺言書がもたらすメリット【遺言者が望む財産配分】

遺言書を作成しておけば、法定相続分によらず、自分の好きなように財産を配分できます。たとえば、

  • すべての財産を配偶者に与える
  • 特定の相続人に多めに与える(介護してくれた子など)
  • 法定相続人以外の人物(お世話になった友人など)に遺贈する

など、かなり柔軟に処分先を指定できるのです。遺言書がないと法律の定めか相続人同士の協議がベースになりますが、遺言書なら被相続人の最終的な意思が優先されます。

 

遺留分への配慮も忘れずに

ただし、配偶者や子などの相続人には「遺留分(最低限の取り分)」が法律で保障されています。そのため、特定の相続人を極端に排除したりすると、遺留分をめぐってトラブルが起こる可能性も生じます

  • 遺留分を踏まえたうえでの財産配分
  • それでも争いが生じそうな場合は専門家に相談し、意思表示をしっかり記録する

そうすることで、自分の死後、相続人が戸惑ったり争ったりするリスクを大幅に抑えられます。

 

「遺言は必要ない」は本当か?

「遺言を書くほどの財産なんてないし……」と思う人もいるかもしれません。しかし、たとえ少額の財産であっても、相続人全員の考え方や事情が一致しない限り、遺産分割協議がスムーズに進む保証はないのが現実です。「これだけの金額なのに」という感覚でも、当事者間の感情や立場が複雑に絡むと意外に揉めるケースは少なくありません。

 

現在と将来の状況が変わる可能性

「うちの子供たちは仲が良いから心配ない」「兄弟は協力的だから大丈夫」という現在の状況も、将来にわたって変わらないとは限りません。時の経過やそれぞれの家庭事情の変化により思わぬ亀裂が生じることも。遺言書を作成しておくことで、そうしたリスクに備えておくのが無難です。

 

まとめ

結局、遺言書を作成するかどうかの判断は「自分の死後、家族にどんな負担を掛けたくないか」「自分の財産を誰にどう渡したいか」をどれだけ明確に意識するかにかかっています。遺言書があれば、相続人の手続きを大幅に減らせると同時に、被相続人の希望がしっかり反映されるのです。

 

当行政書士法人では、遺言書作成や相続全般にわたるサポートを提供しており、遺言書の種類(自筆・公正証書)ごとの特徴や注意点も含めてアドバイスしております。初回相談は無料なので、疑問点や不安がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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