自筆証書遺言は自分ひとりで手軽に作成できる一方、遺言者死亡後に家庭裁判所での検認手続きが必要というハードルがありました。しかし、令和2710日から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、法務局で遺言書を安全に保管でき、遺言書情報証明書を使うことで検認を省略し、相続手続きを進められるようになったのです。

 

ここでは、遺言書情報証明書の交付請求や検認省略のメリットについて説明していきます

 

自筆証書遺言は原則「検認」が必要

自筆証書遺言には、手軽に作成できるメリットがある反面、次のようなデメリットも存在します。

 

  • 自宅保管では紛失リスクや改ざんリスクが否定できない
  • 相続開始後、家庭裁判所で「検認」という手続きが必須
  • 遺言書が見つかっても、検認が完了するまで開封・内容確認できない

 

こうした点が相続人にとって負担となり、「もっと手軽で安全な保管方法はないか」という声が以前から上がっていました。この問題を解消するために誕生したのが「自筆証書遺言保管制度」です。令和2710日に開始した同制度では、遺言者が自筆で作成した遺言書を法務局に持ち込んで保管してもらうことで、以下のメリットを得られるようになったのです

 

  • 検認手続きが不要
  • 紛失や隠匿リスクが大幅に低下
  • 相続人が遺言を見つけられない事態を防げる

 

遺言書情報証明書とは何か

遺言書情報証明書」とは、法務局が遺言書保管制度で預かった遺言を「情報」として証明する文書です。遺言書の原本そのものは相続開始後も法務局から返却されず、相続人は遺言書情報証明書を取得して内容を確認します。

 

つまり、遺言書情報証明書を請求することで、法務局に保管されている遺言書や目録の画像データが反映された書面が交付され、遺言の内容証明として活用できるようになったのです。

 

遺言書情報証明書の記載事項

遺言書情報証明書には、主に以下の情報が載っています。

 

  1. 遺言者に関する情報
    • 氏名、出生年月日、住所、本籍または国籍など
  2. 遺言書に関する情報
    • 作成年月日、保管開始日、保管所名、保管番号など
  3. 受遺者などの記載
    • 受遺者(遺言で財産を受け取る人)の氏名・住所
    • 遺言執行者がいればその氏名・住所
  4. 遺言内容・財産目録
    • 画像情報として遺言書本文や財産目録のコピー

 

遺言者が亡くなった後この証明書の交付を受ければ、金融機関や法務局(登記)などの相続手続きを進めることができるようになっています。

 

自筆証書遺言保管制度の手続き

遺言書情報証明書は、遺言者が自筆証書遺言保管制度を利用する際に交付手続きを行います。

 

1.遺言者が法務局に遺言書を持ち込み保管を申請

  • 原則、管轄の遺言書保管所(法務局)へ本人が出向き、手数料を納付して申し込む

 

2.遺言書が保管される

  • 遺言者には保管証が交付され、原本は法務局が預かる

 

3.遺言者が死亡

  • 相続人などが遺言者の死亡を確認し、法務局に「遺言書情報証明書」を請求

 

4.法務局が遺言書情報証明書を交付

  • これを用いて相続手続き(不動産登記、口座解約など)を行う

 


遺言者の死後、法務局へ窓口・郵送で交付請求書を出すと「遺言書情報証明書」が発行されます。全国どの法務局でも請求可能なので、遠方で相続手続きを進める場合でも便利です。

 

遺言書情報証明書のメリット

遺言書情報証明書を取得することで、次のようなメリットを享受することができるでしょう。

 

検認が不要

従来の自筆証書遺言は、相続人が家庭裁判所で検認を受けなければ開封できず、手間と時間が掛かりました。遺言書情報証明書を取得すれば、検認を省略できるため、相続手続きが早く進みます。

 

全国どこでも請求できる

遺言書の原本は法務局に保存されるため、相続人は家や遺品から遺言書を探す必要がなく、別の地域に住んでいても証明書を請求可能です。

 

紛失や改ざんのリスクを回避

自筆証書遺言を自宅保管すると、家族が誤って破棄したり誰かが改ざんしたりする可能性も否定できません。法務局保管ならそうしたリスクが大幅に減ります。

 

遺言書情報証明書の交付請求

遺言書情報証明書の交付請求の流れを整理しておきましょう。

 

交付請求書の準備

  • 法務局HPや窓口で交付請求書を入手し、必要事項を記載
  • 1通につき1,400円相当の収入印紙を貼付(取得手数料)
  • 請求できる人は、相続人・受遺者・遺言執行者、またはその法定代理人などに限定

 

「関係遺言書保管通知」の有無による手続きの違い

  • 通知を受け取っていない場合法定相続情報一覧図の写しか、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを添付
  • 通知を受け取っている場合提出書類が簡略化できる(戸籍の添付などが一部省略)

※「関係遺言書保管通知」とは、遺言書保管所で保管されている遺言書について、遺言者の死後「法務局が遺言書を保管している」旨を相続人などに知らせるものです。

 

窓口もしくは郵送で取得

  • 窓口受け取りの場合:要事前予約(電話・HPなどで予約可能)
  • 郵送受け取りの場合:返信用封筒と切手を同封

※顔写真付き公的身分証明書も必要なので注意しましょう。

 

まとめ

自筆証書遺言に不可欠な「検認」やリスクとなる「紛失・改ざん」への不安を解消し、相続手続きが大幅に円滑化されるのが、遺言書情報証明書を使った相続方法です。上手に利用することで、煩雑になりやすい相続手続きをより円滑に進めることができるようになるでしょう。

 

当行政書士法人では、相続や遺言に関する手続きサポートを広く行っています。遺言書の作成から情報証明書の取得方法、相続全般の流れまでトータルでご相談いただけます。初回無料相談はいつでもお受けしておりますので、将来に備えた具体的な生前対策を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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