「せっかく書いた遺言書が、細かい不備のせいで無効になってしまったらどうしよう?」

 

自分の思いを反映したはずの遺言も、法律で定められた要件を守れていないと法的効力を発揮しません。特に自筆証書遺言の場合は、書き方や押印の方法まで厳格なルールがあり、1つでも漏れがあると「効力なし」となるリスクが高いのです。安心度の高い公正証書遺言でさえ、条件が整わなければ無効とされてしまいます。

 

ここでは、自筆証書遺言や公正証書遺言を無効にしないためのポイントを整理するとともに、より安全に遺言を作成するための選択肢について解説します

 

遺言書が無効になる理由

民法968条によると、自筆証書遺言は「遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印しなければならない」と厳格に定められています。この4点のどれか一つでも欠けていると、遺言の効力が否定される危険が極めて高いのです。さらに、訂正箇所や文言の追加にも特定の手続きが必要など、細かいルールが多くあります。

 

遺言事項の範囲と法定相続分との関係

遺言書を遺しておけば、法定相続分を大きく上回る分配など、被相続人の意思を尊重した財産配分が可能になります。ただし、遺言者の意向を自由に反映できるとはいえ、その対象は相続・遺贈や身分(認知、相続人の廃除など)に限定されています。あまり関係ないことを書いても法的拘束力は生じません。

 

自筆証書遺言書を無効にしないポイント1【遺言書は自筆で】

2020年以降の法改正で「財産目録」のみPC作成やコピーが許容されましたが、それ以外の本文部分は依然として全文自書が必須です。ワープロ打ちや他人の代筆で作成した遺言書は無効になるので要注意です。

 

また、自筆証書遺言では、誤った訂正方法(たとえば二重線で消して上書きしただけ)だと、その部分や全体が無効扱いになる可能性が高いです。民法上の訂正手続き(「字削除、字追加」の記載と署名押印)を忘れずに行いましょう。

 

自筆証書遺言書を無効にしないポイント2【日付は正確に】

「令和○年○月吉日」のように日付が曖昧だと「遺言がいつ作られたのか不明確」とされ、効力が認められないケースが出てきます。したがって「令和日」と日を明記しないと、あとで裁判で争われても立証が難しくなってしまいます。

 

もし、遺言書に日付の記載がなかったり二重線で修正したりした場合、次のようにみなされることになるので十分注意しましょう。

  1. 日付がまったく記されていない直ちに無効
  2. 日付を消して訂正法定の訂正方法をとらなければならない

 

自筆証書遺言書を無効にしないポイント3【署名は自署で】

署名なしの遺言書は「重大な形式不備」とみなされ、そもそも遺言書として成立しません。必ず自筆でフルネームを記入し、あとで見ても自分だと分かる書式にしてください。

 

自筆証書遺言書を無効にしないポイント4【押印を忘れず】

押印は認印でも法的には問題ないですが、実印なら「間違いなく本人の意思」と証明しやすいメリットがあります。「署名押印は一体」であることを強調している法律文献も多く、特に押印がないと全体が無効になりかねません

 

自筆証書遺言書を無効にしないポイント5【公正証書遺言を選択】

自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所での検認が必要となります。しかし、公正証書遺言にしておけば検認手続きを省略でき、形式面の不備リスクをほぼなくすことが可能です。

 

【公正証書遺言を選択すべき理由】

  • 公証人が内容や意思能力をチェックしてくれる
  • 保管も公証役場で行われるので紛失・改ざんリスクも低い

 

公正証書遺言は作成費用がかかるほか、証人2名を立ち会わせねばならないなど手続きが煩雑な面もあります。しかし、確実な遺言が必要な方や多額の財産をもつ方にとっては、公正証書遺言を選択した方が安心でしょう。

 

公正証書遺言が無効になる場合

安心度の高い公正証書遺言ですが、条件が整わなければ無効になる可能性も否定できません。具体的には以下のようなケースは「無効」と判断されやすいといえます。

 

以下では、公正証書遺言が無効とされるケースを挙げますが、いずれも「常識的な感覚で」「法律や公序良俗を守り」「公証役場と丁寧に打ち合わせる」ことで無効を回避できると考えられますので、十分注意しましょう。

 

認知症などが疑われる場合に注意

遺言作成時点で、遺言者に遺言能力(遺言の内容や法的効果を理解する認知能力)がなければ、遺言自体が無効となります。公正証書遺言は公証人が関与するので無効リスクが低いといわれますが、必ずしも公証人が医師の診断を確認するわけではありません。

証人が不適格だった場合に注意

以下の者は公正証書遺言作成時の証人になることができません。

  1. 未成年者
  2. 推定相続人や受遺者、およびその配偶者や直系血族
  3. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記・使用人

もし上記の「証人になれない人」が証人として立ち会った公正証書遺言は、形式上の要件を満たさず無効となる可能性が高いです。

 

遺言者がうまく話せない場合に注意

「遺言者が読み上げられた内容に対してうなずいただけ」「身振り手振りだけ」では口授と認められず、無効になる可能性があります。

詐欺、強迫、錯誤があった場合に注意

民法上、詐欺や強迫、錯誤により形成された意思表示は取り消し対象となります。遺言作成の場面でも例外ではありません。しかし、遺言者が生存中ならば自分で新たに遺言を書き直すことで解決するのが一般的です。

公序良俗違反に注意

民法では、社会的秩序や道徳に反する法律行為を無効としています。たとえば、「全財産を愛人に渡す代わりに不倫を継続する」など、公序良俗に反した内容の遺言は有効と認められない可能性があります。

 

まとめ

自筆証書遺言は、紙とペンさえあれば誰でも作成可能ですが、その反面法律が定める要件を1つでも落とすと無効になりかねません。さらに、内容に曖昧な点があると後日相続人間で紛争が起こる恐れもあるので、自分の意向を正しく伝え、法律要件をしっかり満たすことが重要です。

 

当行政書士法人では、遺言書の作成をはじめとする大切な生前対策をサポートしています。弊社の無料相談を活用していただき、あなたの状況に合った遺言方式を検討して、将来のリスクを大幅に減らしましょう。もし少しでも不安があるなら、今のうちにしっかり準備を進めておくことが大切です。

 

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