自分自身が亡くなったあとに財産をどう分けるか、遺言書を作成して意思を伝える方法があります。遺言書を作成する際、特に注意したいのが遺留分(相続人が最低限受け取れる財産分)で、十分注意して配慮することが求められるでしょう。

 

ここでは、遺留分に配慮した遺言書の作成方法や円満相続のための重要ポイントについて説明していきます

 

遺言書がないと起こり得る問題

生前に遺言書を用意しておかなかった場合や遺言書の作成タイミングによっては、以下のような問題が起こる可能性があります。

 

口座凍結による相続人の生活費への影響

相続が開始したことを金融機関が把握すると同時に、被相続人名義の口座は凍結されてしまいます。凍結解除には金融機関に対する手続きが必要であり、通常、全相続人による合意が得られるまで口座資金を自由に使うことはできません

 

  • 口座凍結のリスク
    • 生活費や医療費の支払いに困る
    • 葬儀費用をすぐに取り出せず苦労する
  • 遺言書がある場合のメリット
    • 「この口座の残高は○○に相続させる」といった記載は口座凍結解除の大きな根拠となる

 

意思能力低下で遺言書が無効になる恐れ

年齢を重ねると、認知症やその他の病気で意思能力・判断能力が低下する場合があります。そのタイミングで作成した遺言書は、法的に無効とみなされるリスクが高いです。

 

たとえば、意思能力がないと判断されると、契約や遺言などの法律行為が無効とされますので、本人の意思を相続人に遺すことができません。元気で意思能力がしっかりしているうちに、遺言書を作成することが望ましいといえるでしょう。

 

遺留分とは何か

遺留分とは、配偶者や子、直系尊属など特定の法定相続人に保障された最低限度の相続分を指します。たとえ遺言書で「すべての財産をAに相続させる」と指定していても、遺留分が侵害されると、法定相続人は遺留分侵害額請求権を行使でき、遺言内容が一部修正される可能性があります

 

主な遺留分率の例

  • 配偶者と子が相続人の場合:子の遺留分は法定相続分の1/2
  • 配偶者と直系尊属が相続人の場合:直系尊属の遺留分は1/3 など

 

遺留分侵害を避けるための配慮

遺言書による遺留分侵害を回避するためには、すべての相続人の人数や自分への貢献度、関係性などを把握し、相続人の遺留分が侵害されない程度に財産を割り振ることが大切です。

 

なお、財産に不動産が含まれている場合は、「不動産を特定の相続人に相続させる代わりに他の相続人へは現金で遺留分相当額を補填する」という代償分割を利用する方法もあります。

 

遺言書はいつ作る?更新のタイミングは?

遺言書に有効期限はありませんが、元気で意思能力がはっきりしているうちに作成することが望まれます。理由としては、認知症発症などで判断能力が落ちると遺言書が無効になる可能性があること遺言書を早期作成しておくことで万が一の事態に備えられること後になって「遺言書を書きたかったが間に合わなかった」といった状況を回避することなどが挙げられます。

 

状況が変わったら書き直し

遺言書は一度作成して終わりではありません。遺言書作成後に子や孫が誕生して相続人が増えたり、不動産購入や売却によって財産状況が変わったりすることもあるからです。事情変更に応じて必要があれば遺言書を書き直すといいでしょう。

 

  • 最新の遺言書が常に有効
    • 複数の遺言書があっても、日付の新しいものが優先
    • 定期的な見直しを習慣化すると、家族の実情に合った内容を維持できる

 

遺留分に配慮した遺言書作成のポイント

相続人の遺留分を侵害しないことを意識して、遺言書では適切な財産配分を行いましょう。大切な作成ポイントについて説明します。

 

法定相続人の調査と遺留分計算

まずは誰が法定相続人なのかを正確に確認しましょう(戸籍謄本の収集など)。次に、相続財産の総額を概算把握し、遺留分の計算を行います

 

    • 配偶者と子2名が相続人の場合、通常子どもの遺留分は法定相続分の1/2
    • 仮に父がすべての財産を長女に相続させる旨の遺言を書いたら、次女は遺留分を侵害されたとして請求可能

 

具体的な遺言書記載例

遺言書作成時は、財産状況に応じて適切な財産配分と明確な記載が求められます。たとえば次のように記載することも選択肢の1です。

 

  • 不動産の配分
    • 「自宅不動産は長男○○に相続させる。ただし、他の子が遺留分を請求する場合は、別途100万円を支払うことによって解決する」など
  • 預貯金・現金の分配
    • 「○○銀行の普通預金口座の残金は、長女□に全額を相続させる。ただし、遺留分請求が出た場合には必要額を負担する」など

 

代償分割や負担付遺贈の活用

不動産が主な財産で現金が少ない場合「不動産をAに相続させる代わりに、他の相続人への遺留分補填はAが自分の資金で負担する」といった方法(代償分割)も検討しましょう。

 

これにより、特定の相続人が事業や居住などで不動産を継承することができ、また遺留分問題を起こさず相続を円滑進めることが可能になります。

 

遺言書作成の際の手続き・要件

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つがあり、それぞれ作成時の注意点が変わってきます。法的に有効な文書と認められるよう、以下の点に気を付けて作成しましょう

 

遺言書としての要件を満たすこと

3つの遺言形式それぞれについて、作成時のポイントを確認しておきましょう。

 

自筆証書遺言

    • 全文・日付・署名を自筆で書く(押印も必要)
    • 法改正により一部(財産目録など)をPC作成可になったが注意が必要
    • 自由度が高いが無効リスクも

 

公正証書遺言

    • 公証人の立会いのもとで作成
    • 証人2名も必要
    • 費用はかかるが、偽造・紛失リスクが低い

 

秘密証書遺言

    • 現在あまり用いられない、署名押印+公証人の確認を受けるが内容は秘密にできる方式

 

遺留分を侵害しないための具体策

遺留分が侵害されることを防ぐための対策として、以下の方法が考えられます。

 

遺言者が資金対策を行う

遺留分侵害額請求に備えて、生命保険に加入し、その受取人を遺留分請求される可能性が高い相続人に指定することで、請求に対する対応がしやすくなります。生命保険金は相続財産とは異なるため、相続分配に影響を与えずに遺留分請求に対応する手段として有効です。

 

遺贈や寄付に関する事前合意

生前に遺留分相当額を法定相続人に支払い、その上で特定の相続人にすべての財産を遺贈したり、寄付を行ったりすることについて合意を取り付けることができます。これにより、遺留分侵害額請求を事前に防ぐことができます。

 

付言事項を活用する

遺言書には、付言事項として感謝の言葉や、遺贈を行う理由を記載することができます。この付言事項を活用して、特定の相続人にすべての財産を相続させたい理由を明確にすることで、遺留分侵害に対する理解を得やすくすることができます。付言事項は法的効力を持つものではありませんが、遺族間での感情的な理解を深めるために役立ちます。

 

専門家を活用するメリット

遺言書作成では法律知識が要求され、さらに遺留分や相続人調査などで戸惑う人も少なくありません。弁護士や行政書士、司法書士など専門家に依頼すれば、法的要件を満たした遺言書を安全に作成できます

 

たとえば当行政書士法人では、次のような支援が可能です。

 

  • 弊社のサポート例
    • 法定相続人の調査(戸籍謄本の収集)
    • 財産目録の作成支援
    • 公正証書遺言の文案作成・公証人との調整
    • 保管・遺言執行サポート など

 

紛争予防や円滑な手続きが可能に

専門家が関与していると、後から「遺言書の無効」を主張されにくく、相続開始後の混乱を抑えられます。特に、遺留分が絡む複雑な遺産分割では専門家の視点が有用です。

 

まとめ

遺留分に配慮した遺言書の作成は、残された家族の間で起こり得る相続トラブルを予防するために非常に重要です。

 

遺留分を踏まえた遺言書を用意すれば、故人の意思を尊重しつつ、残る家族に過度な争いや戸惑いを与えずに済みます。弊社では、遺言書作成に関する充実したサポートが可能ですので、まずは無料相談をお気軽にご利用ください。

 

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