亡くなった家族の遺品整理中に、ノートの1ページやチラシの裏など、まるでメモ書きのような形で書かれた遺言書が見つかることがあります。こうした「簡素な遺言メモ」は果たして法的効力を持つのでしょうか?

 

ここでは、メモ書き状の遺言でも有効となるケースや自筆証書遺言に欠かせない検認手続きについて説明していきます

 

メモ書きの遺言でも有効になる理由

ノートやチラシの裏などに書かれた遺言書は、被相続人が自ら書き遺したものです。このことから、自筆証書遺言に関する理解と家庭裁判所による検認の必要性について知っておかなければなりません。

 

「メモ書きの遺言」が自筆証書遺言に該当する可能性

日本の法律(民法)では、以下の要件を満たす遺言を自筆証書遺言としています。

 

  1. 全文が自書(手書き)されている
  2. 日付が正確に記載されている
  3. 署名がある
  4. 押印がされている

 

メモ書きのように簡素な形状であっても、これらの要件を満たしていれば自筆証書遺言として法的効力を持つ可能性が高いといえます。専用の用紙で作成されていなくても、また封筒に入っていなくても、上記要件が整っていれば形式面で不備とはなりません。

 

自筆証書遺言として認められやすい例

たとえば、次のような「メモ書き遺言」は自筆証書遺言書として認められる可能性があります。

 

  • 切り離したノート1枚に書かれた遺言
  • チラシや封筒の裏にサラッと書かれたメモ
  • 特定の財産の配分だけ書いた簡単な文章

※このような内容でも、本文・日付・署名・押印の4要件をすべて満たしていれば自筆証書遺言として効力を持つ可能性が高い

 


自筆証書遺言は、遺言者本人の筆跡である点が重要であり、第三者の偽造や改ざんを防ぐ狙いがあります。日付や署名も同じ筆跡で一貫していれば、「遺言者が全体を自書した」と判断されやすいのです。

 

検認手続きで偽造・変造リスクを回避

自筆証書遺言が見つかったら、その場で開封せず家庭裁判所による検認を受けなければなりません検認とは、遺言書の形状・日付・署名などを確認し、遺言書の存在を明らかにして内容を変更しないよう保全する手続きです。

【検認の申立て】

  1. 遺言書の保管者や発見者が検認の申立てをする
  2. 家庭裁判所が指定した日に相続人全員(またはその代表者)が集まり、遺言書を開封
  3. 裁判所が遺言書の外観や署名を確認し、検認調書を作成

メモ書きの遺言でも、自筆証書遺言として認められるものであれば、遺言書の形状を確認したり遺言書の内容を保全したりするために、必ず検認を受けることになります。検認を経て初めて遺言書にもとづく相続手続きが可能になるのです。

 

自筆証書遺言の形式に関する注意点

「自筆証書遺言」と認められるには、遺言書が以下のような形式で作成されていることが重要です。別途、財産目録も作成し、遺産の把握に努めましょう。

 

日付は「令和日」と正確に

「令和78月吉日」のような表現は、日付の特定が困難と判断される可能性があります。日付は年月日を明確に特定できる形で書かなければなりません

 

もし、遺言書の内容を訂正したい場合は、以下のような方法で行います。

  1. 訂正箇所に二重線を引き、余白に訂正内容を記載
  2. 訂正箇所を示し、「○字削除、○字追加」などの文言を明記
  3. 訂正箇所付近に署名押印をする

修正液を用いた書き直しや上書きは無効になる恐れがあるため、法律に定められた訂正方法を遵守することが大切です。

 

財産目録は自書でなくてもOK

自筆証書遺言では、遺言本文は手書きでなければなりませんが、財産目録についてはワープロによる作成でも問題ありません。登記事項証明書や通帳コピーなどを添付して財産目録とする方法も認められています。ただし、その場合は財産目録に署名押印をする必要があります

 

メモ書き遺言書が引き起こすトラブルと対策

一方、メモ書き遺言書は、用紙や作成方法などがしっかりした自筆証書遺言に比べると、次の点でトラブル化しやすいかもしれません。

 

偽造・変造を疑って争いになる可能性

メモ書き遺言書は、正式な用紙や保管方法が整っていない状態で発見されることが多いため、筆跡の確認や改ざんの可能性を巡って相続人が争うことも考えられます。遺言書の偽造・変造防止は検認手続きの1つの目的ではありますが、疑いを捨てきれない相続人が常に皆無とは言いきれません

 

相続人の困惑から生じる相続手続きの停滞

形式が簡素すぎると、相続人としては「この遺言は本当に有効なのか?」と困惑しやすくなるかもしれません。特に、メモの解読が難しかったり文言が曖昧だったりする場合は、相続人同士でも解釈の違いが生まれやすくなります。相続人の心情として納得しきれないなど、問題点を完全に解決できない可能性も否定できません

 

スムーズな相続手続きには「公正証書遺言」の作成を

メモ書き遺言書は法的に有効でも、相続人の心情や負担を考えると、お勧めできる方法ではないといえそうです。遺言を遺したい場合は公正証書遺言を選択し、本人確認・内容確認・保全などの面で相続人を不安にさせないことが大切です。

 

公正証書遺言であれば、公証人の手続きにより作成するため形式不備の心配が少なく、検認も不要です。残された家族を迷わせないためにも、公正証書遺言の活用を積極的に検討しましょう。

 

まとめ

遺言者としては、思い立ったときに手元の紙に遺言内容を書き留めておこう、と考えることもあるでしょう。しかし、それが将来的に、家族に大きな負担をかける可能性があることも事実です。できれば公正証書遺言などより形式が整った手段を選び、相続人にとって分かりやすい形に残すのが望ましいでしょう。

 

当行政書士法人では、遺言書の作成・相続対策など幅広くサポートしております。もし自宅などで「メモ書き」のような遺言が見つかり、その有効性や検認手続きでお困りの際は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。ささいなことでもご遠慮なくお問い合わせいただき、相続手続きがこじれないようにしましょう。

 

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