親の相続手続きをスムーズに進め、相続争いを避けるためには、遺言書の作成が重要です。しかし、元気な親に「遺言書を書いてほしい」と言うのは難しいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、親に不快な思いをさせずに遺言書を書いてもらう方法を紹介します。
親に不快感を与えず遺言書作成を勧める
親に「遺言書を書いてほしい」と言うと、気まずさや不安を感じさせてしまうことがあります。元気なうちに死後のことを話すのは、ほとんどの親にとって避けたい話題かもしれません。そこで重要なのは、親の心情に寄り添い、自然な形で話を進めることです。
遺言書作成を促すタイミングと方法
親に不快感を与えず遺言書の作成を促すには、タイミングとアプローチが重要です。
亡くなった後の不安点について話す
親がもしもの時に家族や財産をどう守るかについて話し合い、その中で遺言書の重要性を自然に伝える方法です。例えば、親の介護費用や家の処分方法について話すことで、遺言書作成の必要性が理解されやすくなります。
遺言書の作り方セミナーに参加する
親子で一緒に遺言書セミナーに参加し、遺言書の必要性や作成方法について共通理解を深める方法です。セミナーで得た情報をもとに、自然に遺言書作成を提案できます。
率直にお願いする
親子関係が良好で、コミュニケーションがしっかりと取れている場合は、率直に「遺言書を書いて欲しい」とお願いするのも一つの方法です。この場合、遺言書作成の理由や背景をしっかりと説明することが重要です。
専門家の意見を聞く
親と一緒に専門家に相談し、遺言書作成が最適かどうかを確認する方法です。専門家の意見を聞くことで、遺言書作成の重要性や方法について納得しやすくなります。
エンディングノートを活用する
遺言書作成の前に、エンディングノートを作成することを勧める方法もあります。エンディングノートは、遺言書のような法的効力はありませんが、親の希望や意思を整理するための手段として有効です。また、最近は多くの中高年がエンディングノートを利用しているため、子どもが利用し始めたことをきっかけに親にも勧めやすくなります。
【注意】やってはいけない親へのアプローチ
遺言書を作成してもらいたいという思いが強すぎて、親に対して不安や恐怖を感じさせたりプレッシャーを与えたりすることは絶対に避けましょう。具体的に、次に挙げるようなアプローチには注意すべきです。
無理に遺言書を書かせた場合
遺言書の作成を強要するために、親を脅したりだましたりすると、遺言内容が親自身の意思ではなくなります。相続人である子どもがこれらの行為に関与した場合、相続人自身が「相続欠格」に該当してしまい、法律上相続権を失う可能性があります(民法第891条)。
遺言はあくまで本人の自由意思に基づいて作成されるものです。親の意思と無関係に作られた遺言は法的に無効となります。
精神的圧力を与えた場合
強迫や詐欺だけでなく、過度な精神的プレッシャーや不必要な干渉も、親の真意に反する遺言書を作らせる行為として問題視される場合があります。
親が高齢で、遺言書の文面をまとめるのが困難な場合、子どもが文案を作成するケースもあります。しかし、提案を超えて強要しないことが重要。文案については親に十分な理解と納得を得てもらい、そのうえで最終決定は親が行うようにしましょう。
※「相続欠格」とは
遺言の偽造・変造や強要などを行った相続人は、法律上の相続権を剥奪され、いかなる形でも財産を相続できなくなる制度です。遺言書を巡るトラブルで相続欠格と認定されれば、本来の相続分さえも受け取れない重大な結果を招きます。
自筆証書遺言の形式要件にも注意
自筆証書遺言の場合、財産目録を除き遺言書本文は完全自書が必須です。
自書による遺言書であること
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文・日付・氏名を手書きし、押印する必要があります。親以外の人が本文を代筆し、親が署名・押印をする形では無効となるので注意しましょう。
財産目録は例外
自筆証書遺言に添付する財産目録については自書でなくてもかまいません。パソコンで印刷したものや子どもの代筆でも法的に認められています。ただし、財産目録の各ページに遺言者が署名・押印するのを忘れないようにしましょう。
文書全体の整合性を確認
自筆証書遺言が形式を満たしていても、財産目録や日付、署名に不備があると、遺言書全体が無効になる恐れがあります。作成後はしっかりチェックし、必要に応じて専門家に確認を依頼すると安心です。
まとめ
親に遺言書を依頼する際には、親の心情に配慮し、自然な形で話を進めることが大切です。遺言書を作成することで、相続手続きがスムーズに進み、相続争いを避けることができます。親子で一緒に遺言書作成について考えることで、万が一の際にも安心して過ごせます。
遺言書作成に関するサポートが必要な場合は、専門家の相談を利用することをお勧めします。










