遺贈とは、遺言書によって無償で財産を譲り渡すことをいいます。受け取る人は受遺者と呼ばれ、法定相続人でない第三者も対象になる点が特徴です。
遺贈によって財産を受け取ると、基本的に相続税が課税されます。金銭だけでなく不動産や有価証券など、あらゆる財産が対象となります。
ここでは、遺贈時にかかる相続税の計算方法や注意点について説明していきます。
遺贈にかかる税金は「相続税」
遺贈で受け取った財産は、贈与税ではなく相続税の課税対象です。ただし、法定相続人ではない人が遺贈を受ける場合、いくつかの特例が使えないうえに「2割加算」という税率上乗せもあります。
相続税の課税対象
- 現金・預貯金
- 株式・投資信託
- 不動産(土地・建物)
- 骨董品や宝石などの動産
- 生命保険金(受取人が相続人以外の場合) など
相続税の「2割加算」に注意
遺贈を受けた場合、次のような人には相続税額が2割増しになります(相続税法18条)。
2割加算の対象となる人
- 法定相続人でない人(例:内縁の配偶者、孫、知人、友人)
- 遺贈によって財産を受け取った第三者
- 法人や団体(※法人の場合、法人税課税の可能性も)
一方、配偶者や子どもなど法定相続人が遺贈を受けた場合には、2割加算は適用されません。
遺贈を受けたときの相続税の計算方法
以下条件のときの、受贈者の相続税負担について簡単に整理しておきます。
【相続税の計算方法】
- 遺産総額(基礎控除後)を計算する
- 課税遺産総額に税率を掛けて相続税額を計算する
- 各人の相続分に応じた相続税を割り当てる
- 遺贈を受けた者(法定相続人以外)は相続税額に2割加算する
遺贈を受けた個人または団体は、遺贈された額(遺産に対する割合)に対する相続税を負担し、さらに2割加算された金額を納めることになります。仮に遺贈分が遺産総額の30%だった場合、その30%相当額に対して相続税が課税されるのです。
相続税の計算式
遺贈で財産を受け取った場合の相続税の計算式は以下の通りです。
(課税価格 - 基礎控除額)× 税率 - 控除額
相続税の課税対象額を計算する際、まず基礎控除額を差し引きます。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で求められますが、この人数に相続人以外の受遺者を加算することはできません。
財産を承継したのが相続人【配偶者+子2名】であれば人数は3人としてカウントされるため、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3)=4,800万円になります。
しかし、受遺者は法定相続人に含まれないため、相続税の基礎控除額は増えないことがわかります。
相続税の税率(一部抜粋)
| 課税価格(相続分) | 税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
※計算後に2割加算対象であれば、税額に20%上乗せされます。
遺贈に適用されない相続税の軽減制度とは
次のような税務上の特例は「法定相続人のみ」対象のため、遺贈を受けた人は原則適用できません。
1. 小規模宅地等の特例
- 被相続人の居住用・事業用の土地について、最大80%の評価減が可能(330㎡まで)。遺贈の場合、原則適用不可。
2. 配偶者の税額軽減
- 配偶者が相続する分については、法定相続分または1億6,000万円まで相続税が非課税。遺贈ではこの軽減の適用ができない点に注意。
遺贈を受けた後の申告と納税の手続き
遺贈を受けた人は、10カ月以内に相続税の申告と納付が必要です。
相続税申告が必要な人
- 相続税の基礎控除を超える財産を受け取った人
- 相続税の2割加算対象になる人
- 相続人ではないが、財産を遺贈された人
まとめ
遺贈を受けた場合、相続税が課されるとともに、「2割加算」や「特例が使えない」といった税務面のデメリットもあります。
自分の財産を本当に渡したい相手に確実に届けたいなら、相続の専門家のサポートを受けながら、遺言書をしっかり作成することがおすすめです。特に、多額の財産を扱うケースや相続人がいる状況では、遺留分や相続税の加算などを考慮したバランスのとれた設計が不可欠です。
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