「自分が亡くなった後、所有する不動産を売却し、現金として分割してほしい」

こうした希望を遺言に明記する方も少なくありません。特に、相続人が複数いたり不動産の共有がトラブルのもとになりそうだったりする場合は、「清算型遺贈」として売却してから分配する方法が注目されています。

 

ここでは、清算型遺贈の基礎知識から、遺言執行者の役割や不動産売却における具体的な権限まで説明していきます

 

清算型遺贈とは

清算型遺贈とは、「不動産を売却し、その代金を相続人に割ずつ分ける」といった内容を遺言に明記し、財産を現金化してから分配する方式です。

 

清算型遺贈が有効なケース

  • 相続人が複数いて共有が難しい
  • 遠方に住む相続人が多い
  • 不動産より現金のほうが分配しやすい
  • トラブルの予防を重視したい

 

清算型遺贈のメリット

  • 財産の分配が明確になり、平等性を確保しやすい
  • 不動産の共有や管理負担を避けられる
  • 相続人間の対立を回避できる可能性が高い

 

清算型遺贈の実現には遺言執行者の存在が不可欠

清算型遺贈の内容を実現するには、遺言執行者の存在が不可欠です。

 

清算型遺贈を遺言書に書いた場合、相続の際には不動産売却の手続き(登記や契約、引き渡しなど)が必要です。もし遺言執行者を指定していなければ、次の点について相続人同士が話し合い、それぞれの課題について合意することが求められます

 

  • 不動産をどのような手段で金銭に換えるのか
  • 誰が売却の手続きや受領金の管理をするのか
  • 売却に際する報酬や経費をどうするか

 

実務上では、多くの手続きについて全相続人の合意が必要になります。すべての課題に対して相続人らの意思が統一されていればいいですが、揉め事に発展することも少なくありません。

 

しかし、遺言執行者が決まっていれば、不動産の売却契約締結も代金受領も、遺言書の指示どおり各相続人へ配分する役割もその者が担うことができ、相続人の負担が軽減されます。特に、相続人ではない公平な第三者(相続に詳しい専門家など)を遺言執行者に指定しておけば相続人から不平不満も出にくいでしょう。

 

遺言執行者の主な役割

  • 不動産の売買契約を締結する
  • 売却代金を受け取り、相続人に分配する
  • 必要な登記や税務手続きを行う
  • 賃貸物件の管理や賃料の処理を行うことも可能

 

遺言執行者がいるとスムーズに進む理由

  • 相続人の同意を都度とる必要がない
  • 契約・登記などの手続きが1人で完結する
  • 第三者(専門家)を選任すれば中立性も担保できる

 

遺言執行者の業務の流れ

遺言執行者には、以下のようなステップで業務を行います。

 

1】就任通知書の送付

  • 「私は遺言執行者を務めます」と相続人全員へ通知
  • 遺言書の写しなどを送って周知を図る

 

2】財産目録の作成

  • 不動産や預貯金の現況調査、戸籍取得による相続人確定
  • 相続人に財産目録を提示

 

3】遺言内容の実行

  • 不動産登記の名義変更や売却手続き、預金口座の解約など
  • 清算型遺贈なら不動産売却契約を締結し、代金を受領後に各相続人へ振り分け

 

遺言執行者がいない場合のリスク

たとえ遺言書に「この不動産は売却して全員で分配せよ」と書かれていても、遺言執行者がいなければ、売却手続きは相続人全員の共同作業となります。しかし、「手間がかかる」「自分にはメリットが少ない」と協力を渋る相続人が現れるかもしれず、売却が順調に進むとは限りません。

 

  • 誰が売却業務を担うかで争いになる
  • 特定の相続人が協力を拒む可能性
  • 売却が遅れ、換価分割が滞る

 

トラブルが避けられない場合は、家庭裁判所へ「遺言執行者選任の申立て」を行うことも可能ですが、手間と時間がかかります。遺言者が遺言作成時点で遺言執行者を指定しておく方がスムーズです。

 

不動産売却における遺言執行者の具体的な権限

遺言執行者には、法律上「遺言の内容を実現するために必要な一切の行為を行う権限」が与えられています。

 

不動産売買契約の締結

清算型遺贈を実行するには、不動産を売却して代金を受領し、それを相続人に振り分けなければなりません。遺言執行者は自分の名義で売買契約を締結したり、登記申請を行ったりする権限を持つのが一般的です。

※民法上、「遺言の内容実現に必要な行為をする権限」を持つ。

  • 遺言執行者の名前で「○○不動産を△△円で売却」
  • 売却完了後、その売却代金を遺産分割の一環として相続人に分配

 

賃貸不動産の管理

被相続人が賃貸物件を所有していた場合、売却までの賃料管理も遺言執行者が担うことが多いです。賃料は相続開始の時点から誰が受け取るのか問題が生じるので、遺言執行者が預かり、清算完了時に相続人へ分配する形をとるケースが多く見られます

 

まとめ

不動産を遺産として残す場合、共有によるトラブルや相続手続きの煩雑化が起こるリスクもあります。そこで、売却して現金化する「清算型遺贈」を遺言で明記し、遺言執行者にその実行を任せることが、相続人間の公平性と手続きの円滑化に非常に有効です。

 

【対策のポイント】

  • 相続人の負担を減らすために「遺言執行者」を必ず指定する
  • 専門家(行政書士・弁護士等)を選任することでより確実に
  • 遺言書作成時点から計画的に進めることが重要

 

当行政書士法人では、遺言書作成サポートだけでなく、遺言執行者への就任や不動産売却手続きの代行など幅広く対応しています。「不動産を売却してから分割したほうが家族内での揉めごとを回避できるだろう」とお考えの方は、ぜひ弊社の無料相談をご利用ください。生前の段階から適切な計画を立てておくことで、相続開始後の混乱を大幅に減らすことが可能です。

 

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