遺贈とは、遺言によって特定の人に財産を譲ることを指しますが、「いつからその効力が発生するのか」「受遺者が単独で登記などの手続きを行えるのはいつか」など、詳しいことがわからず不安に思う方もいるでしょう。

 

ここでは、遺贈の効力が発生する時期や、受遺者が単独で登記申請を行えるタイミングについて説明していきます

 

遺贈とは

遺言によって財産を無償で譲渡することを「遺贈」といい、財産を受ける方を受贈者とよびます。遺産分割協議で遺産分割できるのが相続人に限られるのに対し、遺言書で指定しておけば、遺贈として相続人以外の第三者にも指定できる点が特徴的です。

 

遺贈には、大きく分けて以下の2種類があります。

 

遺贈の種類によって異なる効力発生時期

遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があり、どちらによる遺贈かによって効力発生時期が変わってきます。

 

【1】包括遺贈

包括遺贈は、財産の全部または一定割合を受遺者に譲る遺贈のことです。受遺者は相続人と同様に、債務も含めた権利義務を承継します。被相続人の死亡と同時に効力が生じます。

 

包括遺贈の範囲

財産の全部または一定割合(例:全財産の1/3など)を譲るもの

 

包括遺贈の効力発生時期

被相続人の死亡時に自動的に効力が発生

 

包括遺贈による財産承継

包括受遺者には、相続人と同じく相続放棄の可否や債務も承継される

 

【2】特定遺贈

特定遺贈は、不動産や預貯金など特定の財産を指定して譲る遺贈のことです。原則として遺言執行者が手続を行い、登記などの実行により権利が確定します

 

特定遺贈の範囲

特定の財産(例:〇〇の土地、△△銀行の預金口座)を譲るもの

 

特定遺贈の効力発生時期

遺言の効力自体は死亡時に発生するが原則として受遺者の承諾が必要(登記などの実行は遺言執行者の関与が必要

 

特定遺贈による財産承継

遺言執行者による手続きが完了することで、実際に権利が確定する

 

遺贈登記はいつから単独申請できるか

遺贈によって不動産を譲り受けたら、必ず登記をする必要があります。このとき、受遺者が自分一人だけで登記申請できるかどうかが「単独申請」の問題です。

 

遺贈による不動産登記について、受遺者が単独で申請できるかどうかは、遺言執行者の有無によって次のように分かれます

 

【1】遺言執行者がいる場合

遺言執行者がいる特定遺贈では、遺言執行者が不動産の名義変更(遺贈登記)を行う権限を持ちます。この場合、受遺者は単独では申請できず、遺言執行者による登記申請が必要です。

 

なお、包括遺贈の場合は、包括受遺者に不動産の権利が移行するため、単独で登記手続きを行うことができます。

 

【2】遺言執行者がいない場合

特定遺贈で遺言執行者がいない場合は、相続人全員の協力または同意が必要です。ただし、登記原因証明情報が整えば、受遺者単独でも申請できる場合があるとされています。

 

遺贈登記の主な必要書類

状況(自筆証書遺言か、公正証書遺言か、遺言執行者の有無など)によって多少異なりますが、基本的な書類は以下の通りです。

書類名 内容とポイント
登記申請書 不動産の所有権移転を申請する書面(法務局で入手・作成)
遺言書 自筆証書遺言なら検認済証明書付き、公正証書遺言なら正本または謄本
被相続人の戸籍(出生から死亡まで) 相続関係の証明として必要
被相続人の住民票除票または戸籍の附票 住所の確認に必要
受遺者の住民票 不動産登記簿に記載されるため必要
登記原因証明情報 遺言書に基づいて登記する理由を証明する書面(法的文書)
固定資産評価証明書 登録免許税を算出するために必要(市区町村役場で取得)
遺言執行者の選任書類(いる場合) 遺言執行者が手続する場合はその証明書も添付

 

遺贈登記の手続きの流れ

遺贈登記の手続きを確認していきましょう。

 

1】遺言書の確認

公正証書遺言の場合はすぐに使えますが、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要です。

 

2】必要書類の収集

戸籍、住民票、評価証明書などを集めます。相続関係説明図の作成が求められる場合もあります。

 

3】登記原因証明情報の作成

「被相続人〇〇の遺言により、令和〇年〇月〇日に〇〇に不動産を遺贈した」といった形式で記載します。

 

4】登記申請書の作成

登記の目的、申請人、遺贈の原因などを記載します。正確な情報を記載するために、法務局で不動産ごとの登記情報を取得しておきましょう。

 

5】法務局へ申請

管轄の法務局に書類一式を提出します。郵送やオンラインでの申請も可能です。

 

6】登記完了後、登記識別情報の交付

正常に登記が完了すると、登記識別情報通知書(旧権利証)が交付されます。

 

【登録免許税】

登録免許税は「固定資産評価額 × 2%」が原則です。評価額2,000万円の不動産であれば、「2,000万円× 2%=40万円」が登録免許税になります。

 

まとめ

遺贈の効力は被相続人の死亡時に発生しますが、実際に受遺者が単独で登記できるかどうかは遺贈の種類と状況により変わります。特定遺贈では、遺言執行者の存在が手続きに大きく関わるため、内容を正確に把握することが重要です。

 

遺贈を受けたら、速やかに登記などの手続きを検討しましょう。

 

当行政書士法人では、司法書士と連携しながら専門家によるサポートを提供しています。遺贈登記に関することでお悩みの場合は、ぜひ無料相談をご活用ください。

 

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